“またね。”
ねぇ、ありがとう。

あなたがいつも笑っていてくれたから、私はいつも笑顔になれた。

寂しい時も、苦しい時も

あなたの笑顔に救われた。



もう充分。

きっと前に進める。

だから、伝えます。

ずっとずっと、伝えたかったことを。



最後に…

後悔しないように─



「菜摘ね、本当に大好きだったよ」

「うん…ありがとう」

「本当に幸せだった」

「うん…」

大ちゃんをしっかりと見たいのに

涙が邪魔をする。

涙を止める術は相変わらず見つからない。

いつだって大ちゃんが止めてくれたから。

笑顔にしてくれたから。

「あんなに人を好きになったの初めてだった。大ちゃんだからだよ」

うまく喋れてるかな。

大ちゃんの顔が見えないよ。

「今まで本当にありがとう」

大ちゃん、困ってるかな。

ううん─

大ちゃんなら、きっと笑ってくれてる。



「世界で1番愛してた」



本当に愛してた。

だから…



「だから─」



─『さようなら』─



出かけた言葉をぐっと飲み込んだ。

だって─

本当に伝えたいことは

『さよなら』なんかじゃない。



もっと

もっと

大切なことがあるから。

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