“またね。”

どの辺から聞いてたんだこいつ。

口には出さず、窓側の席へ移動する。最後列に腰を下ろすと、隆志が続けた。

「一緒の高校行くって言ったじゃん」

小学校からずっと一緒にいた隆志。

高校も同じところに行こうと約束したのは、確か2年生の時だった。

「でもさ、菜摘入れるかわかんないじゃん」

「わかんないから頑張るんだよ」

「そうだよ!あたし勉強教えるし、頑張ろうよ」

ふたりに圧倒されて少し怯む。どうしてこんなに張り切ってるのか。



…菜摘は、前向きになんてなれないから

菜摘にとって、2人は少し眩しい存在だった。



「頑張ろうね」



3人はいつも一緒にいたのに

いつまでも意地張って素直になれない子供なのは、菜摘だけなのかな。



隆志なんてつい最近まで菜摘より小さかったのに、今はもう見上げるくらいになっていて

なんだか少し取り残された気分になる。


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