“またね。”
「またいつか…

何年も経って、うちらがもっともっと大人になってさ。

菜摘も結婚して、お互い子供もいたりして。

いつか『懐かしいね』って

『そんなこともあったよね』って、笑って話せるようになったら

また会いたいな。

何年かかるかわかんないけど

また、会いたい」



これが本当の気持ち。

もう会えないかもしれないけれど

何年かかるかわからないけれど

また、会いたい。



「だってうちらさ、なんか切っても切れない縁じゃん?運命だし」



本当の『思い出』にできた時

きっと、心から笑い合える。

そんな気がするから。



「…うん。約束する」



涙は止まらないけれど

やっと大ちゃんの顔が見えた。



涙のせいじゃないかもしれない。

菜摘が下を向いていたのかな。



顔を上げると、そこには世界で1番綺麗な光景が広がっていた。

車の中に、窓の外からあらゆる光が入り込む。

その光が大ちゃんを照らす。

顔を覆った手の影に、一筋の光。



─大ちゃんの、涙。

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