“またね。”
『約束だよ』

小指を差し出す。

大ちゃんが小指を絡める。

指切りをした。



「俺嘘つきだけど…この約束は絶対守りたい」



絡めた小指をほどき、そっと手を重ねる。

それはケジメであり、

言葉にならない想いの全てであり、

最大の愛情表現で。



大ちゃんの手は、相変わらず冷たいけれど

今までで1番、暖かかった。



「じゃあ…元気でね」

「うん」

重ねた手を離す。

その手は、とても自然に

菜摘の髪に触れた。

…とても、自然に。



「幸せになってね」

「うん。菜摘もね」



2人の涙は、流れ続けていたけれど

その涙も、2人を包む空気も

とても、暖かかった。



「またね」

「うん。またね」



『いつかまた会える、その日まで』

『さようなら』



そして─










“またね。”



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