“またね。”
かっこいいこと言ったくせに、大輔が徒歩だったことをふたりともすっかり忘れてた。
「…どうすんの?」
「2ケツすりゃいいじゃん」
「2ケツはいいけど、帰りは?」
「…わかんない」
…天然というか、計画性がないというか。
菜摘もそうだから、人のことは言えないけど。
「まあいいじゃん。とりあえず送る」
大輔に腕を引かれて荷台にまたがった。
「大輔、何型?」
なんでも血液型で判断しようとするのが菜摘の変な癖。
「A型だよ」
「え、ほんと?菜摘と同じだ」
意外だな、と思いながら、大輔の腰に手を回す。
「お前A型っぽくないのにね」
「…めちゃくちゃこっちの台詞ですけど」
大輔は『ははっ』と笑い、ペダルを強く踏んだ。
よかった。
元通りだ。
話し方も笑い方も、いつもの大輔。
さっきの出来事は夢だったんじゃないかと思ってしまうくらい。
自分はこの人のことを何も知らないんだ、と痛感した。
知り合ってから日が浅すぎる。