“またね。”
溢れる想い
「で、結局『好き』とかはなかったの?」
「…いや…うん」
休み明けの朝、さっそく伊織の呆れ顔。
いつものように足を組み、おまけに今日は腕まで組んでいる。
「それってさあ、ほんとに遊ばれてるんじゃないの?」
遊び?
「思わせ振りなことして『好き』とか言わないなんてさ、そんなのただのキープじゃん」
眉間にしわを寄せ、伊織は容赦なく続けた。
「あたし、そういうの嫌だ。なっつが傷つくのなんて見たくないよ」
伊織の言っていることは正しいのかもしれない。
でも。
大輔の瞳や言葉が
どうしても頭から離れてくれない。
大輔のことは、まだ何も知らない。
両想いかと聞かれたら、それはわからないし
何より自信がない。
でも、大輔は……
遊びとかキープとか、そういうことをする人じゃないと思う。
決して菜摘は特別とか自惚れてるわけじゃないけど
そういう人じゃないって信じたい。