“またね。”
呼び出し音が数回鳴る。
それに比例するかのように、菜摘の鼓動も早まっていく。
【…もしもし?どした?】
大輔の声を聞くと、なぜか一瞬にして震えが止まった。
なんでだろう、不思議。
「急にごめんね。えっと、…言いたいことあって」
【え、なに?】
それでもやっぱり緊張はおさまらなくて
大きく深呼吸をした。
「…あのね。菜摘、大輔のこと好きだよ」
あんなにためらっていた一言を、こんなにアッサリ言えるなんて。
手遅れになってから言えるなら、もっと早く言いたかった。
でも、伝えたいことはたくさんあったはずなのに
これ以上は言葉が出てこなかった。
大輔からの返事はなく、その沈黙が苦しい。
数分…ううん。
数秒だったかもしれない。
とにかく、長く感じた。
【…なんで…】