“またね。”
「じゃあ志望校かえんの?」
後ろから菜摘のノートを覗き込む隆志。
だから、どこから出てきたのさ。
「盗み聞きばっかすんなよ」
「いいじゃん。まさか、また私立行くとか言わないよな?」
もう願書は提出したけど、滑り止めに私立も受けるから、今からでもかえようと思えばかえられる。
でも、
「…言わないよ。頑張るって言ったじゃん」
動悸は不純かもしれないけど、もう行くって決めたんだ。
振られたくらいでかえたくない。
「そっか。安心した」
隆志は微笑みながら菜摘の頭を軽く撫でると、男の子たちの輪へ戻って行った。
それに、2人との約束だもん。
自分の勉強時間を削ってまで協力してくれているみんなのためにも、
この頑張りを無駄にしたくない。
大輔と同じ高校に行きたいという気持ちはもうないと言えば、それはもちろん嘘になるけど
もっと違う気持ちも確かにあるんだ。
絶対に受かりたい。