“またね。”
美香に続き、植木くんの部屋へと階段を登る。
テレビしかついていない8畳ほどの部屋に男が6人。
お酒と煙草の匂いが入り混じり、飲み会独特の雰囲気が漂っている。
普通なら危機感を察知するところかもしれない。
でも植木くんはいい人だと聞いていたし、お兄ちゃんの後輩ということもあり、危機感は全くなかった。
「おー、やっときた」
「植木くん、久しぶりー」
挨拶を交わす美香の後ろに隠れて部屋を見渡す。
美香は植木くんとしか面識がないらしく、2人で話していた。
…やっぱりこなきゃよかった。
知らない男だらけの部屋は居心地が悪いなんてもんじゃない。
隅っこに体育座りをして無駄に携帯をいじっていると、誰かが菜摘の隣にしゃがんで顔を覗き込んだ。
「ナツミちゃん?」
金色の柔らかそうな髪が印象的な、可愛い顔をした男の人。
一重の丸い目を細め、そのまま隣であぐらをかいた。