“またね。”
「あ…うん。菜摘です」
どうして名前知ってるんだろう。
植木くんから聞いたのかな。
「バカばっかだからそんな緊張しなくていいよ?俺、松井駿っていうんだよね。適当に呼んで!」
微笑みながら、真ん中で分けられた長い前髪を整える。
「えっと、しゅんくんね」
気さくな人でよかった。
駿くんのおかげで徐々に緊張がほぐれていき、それから他の人たちも話し掛けてくれた。
しばらく話してると、みんな本当にいい人で
1時間が過ぎた頃には、人見知りなんてすっかり消えて楽しく話してた。
家を抜け出してきている美香は、親が起きる前にと朝方帰る。
すぐに戻ってくるからと言われ、菜摘はそのまま植木くんの部屋に残った。
「兄ちゃん元気?俺、最近ずっと会ってないんだけど」
植木くんとお兄ちゃんは、思っていたよりも仲がいいらしい。
そのおかげか、菜摘にもよくしてくれた。
「元気だよ。てかみんな高校どこ?」
「南高ー。ここにいる奴みんな同じクラス!」
駿くんが言う。
みんな仲良しなんだね。