“またね。”
「1ヶ月ぶりだね。…彼女いいの?」
聞きたいような、聞きたくないような。
でもやっぱり気になるから聞いちゃった。
「いいんだよ。今日は菜摘と楽しむ」
ニッコリと微笑み、菜摘の頭を軽く撫でる。
『いいんだよ』って
じゃあこれからも会えるの?
『菜摘と』って─
嬉しくなっちゃう菜摘は、やっぱりずるい人間なのかな。
4人で歩き出す。
今日はお姉ちゃんに送ってもらったから、菜摘は徒歩。
その代わり、大輔が珍しく自転車に乗ってた。
「チャリなんて珍しいね」
「植木んち遠いもん」
確かに。
ここから植木くんの家まで歩いたら1時間以上かかる。
大輔の住む街はもっと奥だから、歩いて行ける距離じゃない。
「てか、乗りなよ」
大きな手が、トボトボ歩く菜摘の腕を引っ張った。
厚着なのに、触れられた感触がしっかりと残る。
触れられた部分が熱い。
「ああ…うん」
離れた大輔の手を目で追う。
大きな手。
頭撫でてほしいな─