“またね。”
「…彼女いるのにさ、他の女と手なんか繋いじゃっていいの?」
どうしてこんなこと言っちゃうんだろう。
自分から離すことなんかできないくせに。
「散歩って手繋ぐもんじゃん」
繋いだ手を菜摘に見せるように上げて、ニッコリと微笑む。
「…やっぱ大ちゃんはタラシだ」
「ちげぇって。それに繋いでんのは菜摘だからいいじゃん。誰とでも繋ぐわけじゃないし」
…何それ。
どういう意味?
大ちゃんって、たまにわからなくなる。
─ううん、違うね。
やっぱり菜摘は、大ちゃんのことを何も知らない。
悔しいけど、
何も知らないんだ。
でもね、大ちゃん。
どんな意味でも
菜摘は嬉しかったんだよ─