“またね。”
何もない道に、2つの影が寄り添う。
この影みたいに、もっと近付けたら。
隣にいられたら─
「菜摘さ、初めて」
「ん?何が?」
「…手…繋いだの」
こういう暴露ってけっこう恥ずかしい。
「は!?嘘だろ!彼氏いたのに!?」
「…ほんとです」
大ちゃんが大袈裟に驚くから、恥ずかしさが倍増した。
自分でもおかしいと思う。
キスもセックスも経験があるのに、まさか手を繋いだことがないなんて。
「あー…そっか。なんかごめんね」
大ちゃんの手の感触が、少しずつ消えていく。
「ううん、いいんだ!温かいし!」
待って。
まだ繋いでいたい。
お願いだから
離さないで─
初めて繋いだのが大ちゃんだから
大ちゃんとだから、繋いでいたい。
なんだか泣きそうになっちゃって
大ちゃんを見上げたら、
大ちゃんはニッコリと微笑んだ。