“またね。”

いつの間にか寝ていたらしく、気付くともうお昼だった。

寝呆けながら体を起こす。

隣には、まだぐっすり眠っている大ちゃん。

あどけない寝顔。

まつ毛が長くて、唇が綺麗。

大げさかもしれないけど、母性本能くすぐられるっていうのは、もしかしたらこんな感じなのかな。

なんだか愛しくて、守ってあげたくなっちゃうような

そんな気持ち。



気付かれないように

起こさないように

そっと、髪に触れた。



床で寝ていた植木くんが起き上がる。

そういえば美香と駿くんがいない。

「おはよ。美香と駿くんは?」

「あー…松ちゃんがバイトで、美香は用事あるとか昨日言ってた気がする」

寝癖がついた黒髪を右手でいじりながら、大きなあくびをする。

そっか、と返事をして、荒れ放題の部屋を軽く片付ける。

「全部片付けてくれちゃっていいよ」

「はあ?絶対やだ」

最後の空き缶をゴミ袋に入れて、ベッドに腰掛けた。


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