“またね。”

テレビをつけると、突然、後ろから腕を掴まれた。

驚いて振り向くと、寝呆けているらしい大ちゃんが、枕に顔を伏せまま手だけ伸ばしていた。

「おはよ。起きた?」

「…起きた。今何時?」

機嫌悪そー…。

テレビを見ながらケラケラと笑う植木くんの声が部屋に響く。

「3時半。もう美香と駿くん帰ったらしいよ」

「…はっ?3時半!?マジかよ!起こせよ!」

目を見開いて勢いよく飛び起きる。

…なんで怒られてるんだろう。

「え…なんか用事あんの?」

「…いや、ない」

「………」

寝起き悪いんですね…。

完全に怒られ損だ。

ふてくされると、大ちゃんがははっと笑った。



「菜摘、ごめんね。おはよ」



菜摘の頭を、大きな手でそっと撫でる。

そんな風にされたら機嫌直っちゃうじゃん。

「…うん、おはよ」

…まあ

可愛いから、許してあげようかな。

これから先もきっと、菜摘はずっと大ちゃんには勝てない気がした。


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