指先で紡ぐ月影歌




武士なら体当たりでぶつかって。

己の刀に魂のせて腕を振るうべきだと。


ずっとそう思って刀を握ってきた。

そうやって死闘を乗り越えてきた。


だってそれが男冥利ってもんだろう?


例えその先に待っているのが冥土の旅であったとしても。


この手に幾つもの試練を共にした相方-アイトウ-があるならば、悔いなんてねぇ。


何の為に京都に来たと思ってんだよ。

何の為に稽古してきたと思ってんだよ。


それに正直、遠方攻撃なら左之の槍のが強いと思う。

あいつの槍受けるの、嫌だぜ。

すげぇ勢いあって怖いんだよ、まじで。


体格いいし力あるから当然っちゃ当然なんだけど。

遠心力で人が飛ぶな。




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