指先で紡ぐ月影歌
『…行かれるんですね、組長』
『おう。長いこと世話かけたな』
『……』
『…おい、お前…そんなでかい図体してぼろぼろ泣くなよ』
『…っしかし…』
『別に一生会えねぇってわけじゃねぇんだから』
『そ、それは…』
『……なぁ、島田』
『…は、い』
『俺の代わりに、ちゃんと最後まであの人の傍にいてやってくれ』
『…?』
『本当はさ、最後まで一緒に戦っていてぇけど…そういうわけにもいかなくなっちまったから』
『…っ』
『だから俺の代わりにちゃんとあの人の傍にいろよ?じゃねぇと何でも一人で背負い込んで無理しちまうからさ───土方さんは』
『組、長』
『がむしゃらなのは俺の仕事だろ?あの人が間違っても死に急がねぇようにちゃんと見とけよ。んで、見届けてくれ』
『────は、い』
『頼むわ。んじゃ…また生きて会おうぜ』