指先で紡ぐ月影歌
本当は自分の目であの人を最後まで見届けたいけれど、俺にも貫きたい思いがあるから。
だからこの男に任せようと思う。
きっと生きて見届けてくれると。
そうどこか確信にも似た思いがあった。
俺と島田の絆もある。
長い間同じ二番隊として幾つもの戦場を乗り越えてきたんだ。
そこには確かな信頼だって存在してる。
これが最後の命令だ。
二番組長・永倉新八からの最後の頼み。
もしもこの戦いの先に生きてまた会えたなら。
その時は酒でも酌み交わしながら島田の好きな甘味でも用意して、あの人の最後の話を聞こう。
どんなふうに生きていったのか、そんな話をしよう。
そう深く息を吸って、俺は自らの道を歩き出した。