指先で紡ぐ月影歌
自らが選んだ道を決して後悔しないために。
そういえば、あの人の後ろをついて回っていた小さなガキはどうしたのだろうか。
きっと一緒に最果ての地まで行ったのだろう。
あいつもまたあの人の最後を見届けたのだろうか。
そんなことを考えながら再び目を閉じる。
すると
『なーに情けねぇ顔してやがんだ?』
聞こえてきたのは懐かしい、あの人の声。
「土方、さん…?」
閉じたばかりの目を開いて慌てて起き上がれば、目の前には黒い着物を身に纏い意地悪い笑みを浮かべた土方さんの姿。
その顔は最後に見たときと変わらないのに、髪は昔のように長い。
それがやけに俺の胸を抉る。