指先で紡ぐ月影歌
けれど時代が動いていくたび、景色が変わるたびに不安になっていく。
あの時の俺たちという存在に意味があったのだろうか。
俺たちのしてきたことに本当に意味があったのだろうか、と。
縋るような思いで目の前の土方さんを見つめれば、彼はこれほども気にしていないという表情で酒を煽った。
そしてコクリと酒が喉を鳴らしたかと思うと、その二つの瞳に俺を映す。
強い意志を持った瞳。
それは昔何度となく見た、忘れかけていた強さ。
そこに映る俺はなんて情けない顔をしているんだろうか。
そんな俺に向かって土方さんの口が動く。
『戦わずして守るか、守るために戦うか。それだけの違いだろ』
そして静かに、そう言葉を落とした。