指先で紡ぐ月影歌
その言葉に俺は目を見開く。
『お上は前者を選んで、俺たちは後者を選んだ。それだけのことさ』
さも当たり前のようにそう言って、もう一口酒を流し込む土方さん。
チリッと喉が焼けるように痛い。
どうして。どうしてこの人はこうなんだ。
「…正しかったと、思うか…?」
俺たちのやってきたことは、流してきた血は正しかったのだろうか。
そう口にした後になって気付く。
俺は誰に向かってこんなことを言っているんだろう。
この人の答えなんて決まってるじゃないか。
きっと得意気に笑って言うんだ。
『さぁな。どっちが正しかったかなんてわからねぇよ。ただ少なくとも俺には、戦うほうが似合ってる。そう思っただけだ』