指先で紡ぐ月影歌




お前だってそうだろう?

そう言って土方さんは予想通り口の端をつり上げて笑みを浮かべる。


あぁ、どうしてこの人は。

こうやって俺の求める答えをくれるんだろう。


そうだよ。

戦わずに守る、なんてそんなの俺には似合わなくて。

そんなもんで納得なんて出来るわけなかったから。


だから俺は俺の唯一の刀で守るために戦うことを選んだんだ。


この国を、人を、時代を。

そして俺たちが描いた夢と居場所を守るために。俺は戦うことを選んだ。


そう思い出したら何だか少しだけ気が楽になって。




「…やっぱさ、七分三分で酒交わしときゃよかったかな」




ふっと出た言葉がそれだった。


それはもうずっと心の中で考え続けていた思い。




< 206 / 239 >

この作品をシェア

pagetop