指先で紡ぐ月影歌




思い出す。俺たちは同志なのだと近藤さんに文句をいった最初の日と、最後の日を。


言った言葉を後悔しているわけじゃない。

あの時の思いが間違っていたとも断じて思わない。


だけどもし、あの日違う決断をしていたら。

七分三分の契りを交わしていたなら、俺たちの未来は変わっていたのだろうか。




「そうしたらあの時近藤さんは、躊躇うことなく一緒に連れていってくれたかもしれねぇだろ?」




俺がもし近藤さんの部下だったなら、近藤さんはあの日躊躇うことなく共に死んでくれと言ってくれたかもしれない。


もしそうだったなら。

俺は後悔なんて一つもなく乗り込んでいけた。

恐れるものなんて、何一つなかった。




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