指先で紡ぐ月影歌
その言葉に俺も苦笑を浮かべる。
何となく、そんな返事が返ってくるとは思っていた。
この人だって悔しかったのは同じだ。
だって土方さんと近藤さんは昔からの親友で。
彼の死を引き留められなかったことをきっと誰よりも後悔していたのはこの人のはずだから。
それに、土方さんの言う通りきっと結論は変わらなかったんだろうとも思う。
結局、近藤さんは俺たちを生かす道を選ぶんだ。
土方さんにさえそうしたように。
そういう人だったから。
多摩にいた近藤先生っていうのは。
そうやって、いとも簡単に笑ってくれちまう人だった。
それでも願っちまうんだよ。
あり得もしない"もしも"の未来というやつを。