指先で紡ぐ月影歌




例えどれだけ世界が変わっても。

例えそれが望んでいた未来とは違っていたとしても。


俺たちはこの日の本を、太陽の下を歩いていたじゃないか。

たくさんの思い出があるじゃねぇか。


武者修行の途中で彼らと出会って。

夢のために捨てたものもあったけれど、それでも諦めたくはなかったから。


悲しい思いも苦しい選択も覚悟して。

皆で拳を合わせて描く未来に向かって歩いていたんだ。


そんななかで決してぶれることのなかった思い。


それは故郷を捨てたときからこの人が背負った"誠"の文字。


一緒にその字をこの背に背負ったはずだったのに。

この胸に刻んでいたはずなのに。


俺はなんで、それを忘れていたんだろう。




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