指先で紡ぐ月影歌
眩しい日差しの下、浮かぶのはお得意の酷く意地悪いその笑み。
そんな姿ですら様になるのだから憎たらしいことこの上ない。
女はこの人のこういうところに溺れるのかもしれない。
いや、男も同じようなもんか。
キュッと持ち上がった口角。
癖のように寄せられた眉に、細められた瞳の先。
その表情の意味を俺は知っている。
それはいつだって悪戯に俺を挑発してきた。
いつだって、いとも簡単に迷っていた俺の心を動かす。
大丈夫だと、俺に絶対的な自信をくれるんだ。
「…なんだよ、それ」
『副長命令』
「はっ、そう言われちまったら断れねぇじゃんか」
あっけらかんとそう言われてしまえばもうお手上げで。
断れるわけがないじゃないか。