指先で紡ぐ月影歌
その後は斎藤を探して。
そうだ。約束通りあの小さな小姓にも会いに行こう。
聞いてやらなきゃな、完了の報告。
きっと頑張ったはずだから。
伝えたいことがたくさんある。
あの人たちが誤解されないように。
俺たちの誠を決して汚されないように。
残したい思いもたくさんあるから。
俺は図太く生きてみせるさ。
あの人たちが見れなかった"次の時代"をこの目に焼き付けて。
「冥土の土産は多いほうがいいもんな」
ぐっと体を伸ばして立ち上がる。
もう悩むのはやめにして、生きていこう。
夢じゃないことを証明しよう。
最後の隊務を果たすため、俺はいつもより軽い足取りで地面を蹴った。
最後の盃
(忘れられない酒の味を)
(北の地で思い出す)