指先で紡ぐ月影歌
(…すまねぇ)
つい頭に浮かんだそれは、一体誰に向けたものだったのだろうか。
良い人生だったと一言で言うにはあまりにもたくさんのことがありすぎた。
人には言えないことも誇れないことも、数えきれないほどしてきたけれど。
けれど、決して悪い人生ではなかっただろう。
残していく仲間の心配はしていない。
生きてくれると信じているから。
必ずこの誠<マコト>を紡いでくれる奴がいるから。
だから心配はしていない。