指先で紡ぐ月影歌
だから何度も何度も刀をぶつける。
葛藤のなかにも変わらないその重みが、この人の隠せない心なのだと思ったから。
それを俺の刀-ココロ-で感じたいと思ったから。
「…はぁ、はぁ…」
「…っは、…」
どれくらいの間そうしていたのか。
それほど長い時間ではなかったと思う。
辺りを照らす月明かりはまだ皓皓と輝いたままだ。
そんな神聖な空気のなか、俺たちの体からはいくつもの汗が滴り落ちる。
水も滴る良い男、なんて。
冗談の一つでも言ってやりたいところだが、そんな雰囲気でもねぇわな。
呼吸もままならないこんな状態、久しくなった記憶はない。
それくらい本気でぶつかっていた。