指先で紡ぐ月影歌
元々百姓生まれの近藤さんはチャキチャキの江戸の男というより、武蔵の田舎らしいおおらかな人で。
土方さんとは違って、昔はよく悪さもしたと恥ずかしそうに笑う人。
その人の良さはこの頃から遺憾なく発揮されていて、それは年を追うごとにその度合いを増していったんじゃないかと思う。
勿論必ずしもそれがいい方に転がるばかりじゃない。
良くも悪くも純粋な人なんだろう。
人を疑うことを知らない、というか無意識に疑うことを嫌ってる人だから。
そして自分の信じるものには傾倒しすぎるところもあった。
そんな近藤さんに、土方さんが"いつか本気で騙されるんじゃねぇか"と心配していたのが懐かしい。