指先で紡ぐ月影歌




左之助とはウマもよく合って二人で度々出掛けたりもした。

朝まで飲み明かすのも珍しいことじゃなかったっけ。


惣次郎の剣の腕はこの頃ずば抜けていた。

こんな田舎に置いておくのは勿体ねぇくらいに。


それでもここが気に入っていた小さな餓鬼は、道場の後継ぎになる!と豪語していて。


これは将来有望だと土方さんと笑い合ったり。


時々顔を出す斎藤と稽古をすることもしばしばあった。



狭い道場で馬鹿みたいに稽古して、馬鹿みたいに騒いで。

皆で飯を囲んでは少ないおかずを取り合って。


時には本気の喧嘩を繰り広げては、土方さんにこっぴどく怒鳴られたり。

そんな土方さんとまた言い合いを始めたりもして。




< 92 / 239 >

この作品をシェア

pagetop