指先で紡ぐ月影歌
左之助とはウマもよく合って二人で度々出掛けたりもした。
朝まで飲み明かすのも珍しいことじゃなかったっけ。
惣次郎の剣の腕はこの頃ずば抜けていた。
こんな田舎に置いておくのは勿体ねぇくらいに。
それでもここが気に入っていた小さな餓鬼は、道場の後継ぎになる!と豪語していて。
これは将来有望だと土方さんと笑い合ったり。
時々顔を出す斎藤と稽古をすることもしばしばあった。
狭い道場で馬鹿みたいに稽古して、馬鹿みたいに騒いで。
皆で飯を囲んでは少ないおかずを取り合って。
時には本気の喧嘩を繰り広げては、土方さんにこっぴどく怒鳴られたり。
そんな土方さんとまた言い合いを始めたりもして。