ある男女の恋愛事情
切ないけれど、こうして隣に居られるのならいいやって思う自分もいて。
私はやるせない感情を押し込むようにキュッと下唇を噛んだ。
それからは、いつもの
部活みたいに数をこなしていく。
あたしの動作を良いと言ってくれたけど
あたしから見れば、伊吹くんの方が全然綺麗。
男の子なのに、力強いだけじゃなくて
繊細さも持ち合わせている。
「あー。肩バキバキ」
少し休憩しようということになり
近的場の床に二人して座った。
「わあー…真っ暗」
近的場の筒抜けの夜空は星が満点で
この分だと明日も晴れるかも。
的には電気が点いていて
少し幻想的に見えたりする。
「浅野ん家こっから近いの?」
「あ、うん。15分ぐらい」
「マジかよ。じゃあギリギリまで寝てられんじゃん」
「うん、そんな感じ」
「いーなあ、俺いっそのこと
浅野ん家の養子になろーかな」
「え」
「はは、バッカ。冗談だし
真に受けてんじゃねーよ」
ケラケラ笑う伊吹くん。
な、なんだ冗談か。でも吃驚した。