ある男女の恋愛事情







「じゃあ、終わったら
階段の下で待ってて」


「うん」




そう言い残して一旦別れた。

あたしはパタパタ、と階段を上ったが、途中でしゃがみ崩れる。


心臓が、バクバク煩い。


なんだ、そっか、覚えてたんだ。


じゃあ…それじゃあ。

やっぱりあたしは伊吹くんに
告白することなんて出来ない。



叶わない。この恋は叶わない。

分かってるけど、いざそれを目の当たりにするとこんなにも辛いなんて。



「…(あー。もう、

一緒に帰りたくない)」




今日は、一人で帰りたい。

急いで帰って家で泣きたい。



だから…ごめん。伊吹くん。

送ってくれなくて、いいよ。









< 19 / 36 >

この作品をシェア

pagetop