ある男女の恋愛事情
「じゃあ、終わったら
階段の下で待ってて」
「うん」
そう言い残して一旦別れた。
あたしはパタパタ、と階段を上ったが、途中でしゃがみ崩れる。
心臓が、バクバク煩い。
なんだ、そっか、覚えてたんだ。
じゃあ…それじゃあ。
やっぱりあたしは伊吹くんに
告白することなんて出来ない。
叶わない。この恋は叶わない。
分かってるけど、いざそれを目の当たりにするとこんなにも辛いなんて。
「…(あー。もう、
一緒に帰りたくない)」
今日は、一人で帰りたい。
急いで帰って家で泣きたい。
だから…ごめん。伊吹くん。
送ってくれなくて、いいよ。