ある男女の恋愛事情





今年の桜は開花の時期が少し早い。


校内にある一本の大きい桜は満開で
あたしたちを優しく見守っている。


また、1年が流れる――。




「あ。浅野サナ」


「っ」


「お前も2組?」


「う、うん」


「俺も俺も。1年よろしくなー」




さらり、と現れた

伊吹夏(いぶきなつ)くん。


教室のドアを開く所で偶然会った。


そしてそこで初めて
伊吹くんも2組なのだと知った。



あたしも、何か一言言わなきゃ…!

慌てて口を開きかけたとき。

先に教室に入った伊吹くんが
首だけあたしに振り返る。



「こ…!

「あ。そうだ言い忘れてたけど」


「え」



伊吹くんは、目線を

あたしから下にずらして一言。



「スカート、めくれてるよ」


「!?!??!」



いきなりの言葉に
言葉よりも咄嗟に手が動く。


え、どこどごどこ!!?









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