ある男女の恋愛事情
好きよりも嫌われたくないって
気持ちの方が大きくて。
感情を殻の中に閉じ込めて
割られるのを待っているだけだった。
「俺、やだよ。
浅野と友達なんて悪いけど無理」
「、」
「浅野の彼氏になりたい――」
「え」
丸い目を見開かせ驚く浅野。
俺は少し伏し目がちに視線を泳がせ「ごめん」と謝った。
「な、なにがごめんなの」
「小6のとき傷つけてごめん、泣かせてごめん」
「、」
「守らなきゃいけないはずだったのに、一番傷つけて本当にごめん」
ぶんぶん、と首を横に振る浅野は
不安げに俺の制服をぎゅっと握った。
日が沈みかけている
廊下は俺たち以外通らない。
「浅野、俺あの頃から
浅野のこと好きだった、ずっと」
俺はもう一度
今度は浅野の目をみて言った。