ほんのひとすじの偶然
○
図書館は優樹とのお決まりのデートコース。
…といっても、優樹はあまり本を読まない。
私が無類の本好きだから、いつも付き合ってくれている。
「――あ」
静かな図書館の中で、私は小さく声をあげる。
「どうした?」
新刊の図書のコーナーに、私が好きな作家さんの新作が並んでいた。
喜びのあまり、隣にいる優樹の存在を忘れ、その新作に一直線に向かう。
しかし。
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