お嬢様の仰せのままに。
眠り姫 side颯
アンティーク調の家具で、茶色とピンクが主なお姫様みたいな部屋。
堂々と中心に置かれている、
天蓋付きのクイーンサイズのベッドで眠る彼女。
「…ん…」
きゅっと俺の手を握って、規則的な寝息を立てている。
普段は眠そうな顔か、むすっとしたような表情しか見せない彼女の、
こういう気の抜けた表情が好きだ。
俺には気を許してくれてるんだって、嬉しくなる。
「…大丈夫。ちゃんと傍に居るから」
聞こえてるのかわからないけど、囁いてみた。
すると、ふにゃりと緩んだ彼女の顔。
思わず笑みを零して…
不意に、彼女の右耳に触れた。