お嬢様の仰せのままに。
あたしが泣いたら抱き締めなさい
夢を見た。
まだ小さい頃。
颯と庭で遊んでいて。
ころころと、転がってしまったボールを追い掛けて。
テラスで話してた、お父様とまだ生きてた頃のお母様。
―「だから、俺は娘なんかいらなかった」
あたしを追い掛けてきて、その話を聞いてしまったであろう颯。
気づけばあたしは、颯に微笑んでいた。
颯は、何度も「大丈夫」と言って。
小さな体で、あたしを抱き締める。