お嬢様の仰せのままに。
「…沙凪です」
ドアをノックして、声を掛ける。
「入れ」
書斎に入ると、古臭い本のにおいがした。
「…お呼びだと聞いたのですが、何の御用でしょう?」
「…お前と話したかったんだ」
「手短にお願いします。食事をしたいので」
どこまでもつんけんした態度のあたしと、
なかなか目線を上げないお父様。
「…俺が嫌いか、沙凪」
「ええ、凄く。好きになる要素がありますか?」
「…すまなかった」