お嬢様の仰せのままに。
「…お母様のお墓参りは、一緒に行きましょう。
颯も連れて行きますけど」
「…ああ」
「もういい」とか、「許す」とか、そんな言葉は言えない。
これが精いっぱいだった。
「…まだ颯と仲がいいんだな」
「ええ。ずっと一緒ですから」
「…颯が好きか?」
「…好き、です。大切です」
自然と、口から出ていた。
「お前は、自由に恋愛して結婚すればいい。
颯と上手くいくといいな」
初めて見た、お父様の笑顔だった。