お嬢様の仰せのままに。
いつもあたしの右耳に付いている、蝶のピアス。
お風呂に入る時はいつも外すけど、
上がってすぐに付けるから、髪を乾かして貰う時には付いているはず。
でも、今日は、付けてない。
「…颯」
「ん」
「イヤーカフ、外して」
「…え?」
「外して」
意味が分からない、という表情の颯。
「…何で?」
「もう、いらないから」
「……」
一瞬顔を歪ませたけど、渋々と左耳のイヤーカフを外して、
テーブルに放り投げた。