お嬢様の仰せのままに。
恥ずかし過ぎて、言えない。
いつも、沙凪に関しての事は冷静に判断する俺が、
「いらない」のたった一言だけで熱くなったなんて。
"俺離れ"かと思って、寂しくなった…なんて。
「…俺は、お前の下僕でいたつもり…無いんだけどな」
さらさらの長い髪を撫でる。
この穏やかな寝顔を、いつまでも守ってやりたいと思う俺が居て。
「…さて」
沙凪の頭の下から、そっと腕を抜く。
微かに走る痺れに顔を歪めて、ベッドを抜け出た。
布団を掛け直してから、頭を撫でる。
「いい子で寝とけよ」