お嬢様の仰せのままに。
でも、それでも守ってくれるのは、やっぱり颯で。
「俺が好きでこいつの傍に居るんだよ。
あんたらには関係無い」
あたしには見せない、冷たい表情。
それに怯んだのか、女子達は慌てた様にばたばたとトイレを出て行く。
「…颯、ここ女子トイレなんだけど」
「んぁー、まぁいいじゃん」
嬉しいのに、「ありがとう」って言えないあたしは、
本当に本当にかわいくない。
どうして素直になれないのって、自己嫌悪していると、
頭にふわりと温かい感触を感じた。
「…何?」
「いい子いい子、って」
「…子供扱いしないでよ」
「だって、怖かっただろ?
沙凪が強気に振る舞えるのは俺にだけだもんな」