にんじん【超短編】
「ただいま」


「遅かったわね、カレーできてるわよ
早く着替えて食べなさい」


結局、暗くなるまで教室に残ってて
用務員さんに注意されて帰ってきた


いつもより遅い時間に帰ってくるとお母さんが仕事から帰っていた


うちは共働きだから、夕飯は惣菜かカレー、シチューといった簡単なものが多い


『またカレーか…』


心の中でつぶやく
部屋で着替えてテーブルにつくと
お母さんが目の前にカレーを置いた


「いただきます…」


私が黙って食べていると


「あんた、またにんじん残して。
そういうの食べないから中学生になっても
背が伸びないのよ。」


そうなんだ
私はにんじんが嫌い
カレーににんじん入ってなくてもいいと思う


お皿の端にキレイによけたにんじんを見ると
私ってこんなんなんだなって
思った


お皿の中にいるのに
端によけられて…









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