イ オ ン
「本当にすみま……いえ、ありがとうございました」
私は彼の目を見て言った。
「どういたしまして。それじゃ……帰り道、気をつけて」
彼はそう言うと、くるりと背を向け家に向かって歩き出した。
「あっ、あの!」
私はハッとして自分の口を押さえた。自分でも何で彼を呼び止めたのか分からない。
でも、まだ私が聞きたいことを聞けてないのを思い出した。
「な、名前……教えて下さい……」
勇気を振り絞って聞いた。すると、彼は振り向き、
「爽(そう)!綾瀬 爽っていうんだ」