イ オ ン
私は続けてもう一つ聞いた。
「明日……、ピアノを聴きに言ってもいいですか?」
そう言うと、彼は一瞬驚いた表情になる。そしてすぐに、穏やかに笑った。
「いつでもおいで。待ってるよ」
そう言って、彼は家に入っていった。
私はというと、嬉しさのあまり声が出せずにいた。
良かったぁ……。勇気を出してみて本当に良かった!
これで明日もあの人に会えるんだ……。
でもなんであのピアノの音に魅かれたのかな……?
音楽は普通に好きだけど、あんなに曲に興味が湧いたのは初めてだった。
「綾瀬……爽君か……」