イ オ ン

そのまま浜辺を歩いていたときだった。



ポトッ。



「あっ!」



砂浜に指輪を落としてしまった。




私はあわててそれを拾って砂を払う。



「……良かった。傷ついてなくて」




そして、その指輪を薬指にはめ直す。





私の指には少し大きいサイズの指輪。




もう一度指から外して、両手で指輪を持って胸に当てる。





「ただいま、爽」








島の浜辺をゆっくりと歩きながら、私は思い出していた。






1年前のあの夏を。














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