10年後も…〜song for you〜
「いらっしゃい。どうぞ」
絵里は、笑顔で俺を招き入れた。
玄関から一歩進むと、なんだかいい匂いがする。
キッチンのテーブルには、たくさんの料理が並んでいた。
「本当は、夜にと思ってたんだけど、作っちゃった。冷蔵庫の有り合わせだけどね」
絵里はそう言うが、有り合わせじゃないことくらい分かる。
パスタ、サラダ、スープ…
どれも本格的で、すごく美味しそうだ。
テーブルに並んだ料理を見ていると、ふとさっきの出来事が頭を過った。
真琴が作ったオムライス。
目の前に並んでいる絵里の料理に比べ、見た目も悪いし、あいつが料理が苦手なのが、一目瞭然。
でも、俺にはあのオムライスが一番のご馳走に見えた。
一口しか食べれなかったなぁ。
あいつが料理なんて、貴重なことだったし。
見た目よりも、そこそこイケた。