10年後も…〜song for you〜
アイツの涙 *健 side
「健、はい」
絵里が隣に来てお茶を差し出した。
「あ…ありがとう」
「あの2人、ホント仲良いね…なんか付き合い始めた頃の私達みたい…」
絵里は、真琴と晴人を見つめて小さく呟いた。
俺は、そんな絵里の言葉を他所に2人の姿が視界に入らないように、2人に背を向けた。
すると、絵里が寄り添うように俺にくっついて来て、俺の腕に自分の腕を絡めた。
「健…もう2人みたいには慣れないの?」
「え?」
絵里の言葉に俺は何も返せなかった。
思えば、ここに来てからはずっと、真琴と晴人を目で追っている。
嫌というほど、2人の甘いムードを見せられている。
イライラもずっと募る一方。
絵里はそんな俺に気付いてた。
不安にさせて、また傷つけている。
やっぱり、俺はちゃんとするべきだ。
あの日、言えなかったこと、渡せなかった物…ちゃんと伝えよう。渡そう。
そう心に決めた。
「絵里、ちょっと2人で話したいことがー」
と、言い掛けた時、邪魔が入った。