10年後も…〜song for you〜
親友の言葉 *健 side
祐樹の背中を見つめながら、駐車場までの坂道を下って行った。
話しの内容はなんとなく予想がついている。
祐樹…ごめんな…。
お前にまで色々心配かけてるよな?
駐車場の入り口に着くと、祐樹が振り返った。
祐樹の目はいつに無く真剣だった。
「お前…真琴にちゃんと話したのか?」
「…祐樹。ごめん。俺…」
「なんで俺に謝んだ?違うだろ!」
祐樹の声が荒げる。
「もう見てらんねーんだよ!お前のこと!あいつが好きなんだろ?気持ち押し殺して、何隠してんだよ!」
祐樹が詰め寄って来た。
だが俺は、言葉が出てこない。
「あいつが泣いてるの見て何も思わねぇのかよ?真琴は、お前が思ってるほど強くねーんだよ!」
思わないわけない。
あいつの涙は、悲しいほど心に突き刺さっている。
あの涙には、嬉しさと悲しさが詰まってる気がした。
「ガキの頃からお前が真琴を好きだったのは知ってる。けど、お前は柏木と付き合ってるしよ、お前が何考えているのかわかんないんだよ….。真琴も柏木もお前は傷つけてるんだぞ…」
さっきまでとは違い、祐樹が静かに話しを始めた。
「お前がギター弾いてる姿、俺もまた見れて嬉しかった。お前は、やっぱ音楽が好きなんだなぁって思ったよ…。だからよ、お前にはきっとなにか考えがあるのは分かる。けどなぁ、真琴にはちゃんと話せ。あいつは、お前が話してくれるの待ってるぞ」
祐樹の言葉が心に突き刺さる。
お前は、やっぱり俺の親友だよ…。